British Rock

『エレクトリック・レディランド』ジミ・ヘンドリクス・エキスペリアンス

クロスレヴューvol.1


 

No.1

名前

電子メール

xenon-cd@02.246.ne.jp

URL

http://www.02.246.ne.jp/~xenon-cd/

いつ聴いたか

1980年代のどこか

その時の境遇

大学に入ってからかな?聴いたの、結構遅かったです。

今でも聞きますか

最近、日本盤の初回盤を再入手したので聴いてますね。

レヴュー本文

まずはジャケットについて。このアルバムのオリジナルは19人のヌード女性が思い思いのポーズをとっている例のデザインだ。ところが発表当時から今に至るまで、このデザインは好ましくないと判断され、各国で別の写真やイラスト等に差し替えられてきた。制作者のジミ自身ですら、当初のデザインにはあきれていたという。当時期待の二枚組ニューアルバムとしては、あまりに短絡的なジャケットで内容の濃さとは裏腹にジャケットでだいぶ損をしていたように思う。今回このサイトでは1969年に発売された日本初回盤を、デザイン担当スタッフのYukioさんにお願いして敢えて載せてもらった。今、一般的に売られている「演奏中のジミの顔をを右下あたりから撮影した写真」のものより、遥かにセンスの良いデザインではないだろうか?ちなみにこの日本盤の見開き内側にはオリジナル盤の表に使われたヌード写真も掲載されていて二倍に楽しめる。

CD時代の現在では一枚のアルバムに60分〜70分のアイディアを詰め込むことは珍しくなくなったけれど、60〜70年代はライヴ録音を除き、コスト面を考えればなかなか勇気がいることだったはずだ。実際スタジオ録音の二枚組で、傑作と呼べるものは殆ど思いつかないし、二枚組にしたせいで冗長になったり散漫な印象を与える作品も少なくないと思う。今でこそ正当な評価を得ている『ビートルズ』(通称ホワイト・アルバム)だってストーンズの『メイン・ストリートのならず者』にしても発表当時は批判的な論評も多かったのだから。

このアルバムはジミ自身がはじめて自由にやりたいことをやったアルバムということで、かなりバラエティーに富んではいるが、それが散漫さや冗漫さを感じさせる一歩手前で留まっており、ビートルズやストーンズのそれに較べて二枚組スタジオ盤としての必然性も完成度も上を行っていると思う。

イギリスで経験したクリーム、ソフト・マシーン、ピンク・フロイド、インクレディブル・ストリング・バンド、キング・クリムゾンといった層の厚い英国バンド達との共演、さらにはメッセージを重視したディランからの影響など自分が表現したいことが当時のジミには山ほどあったのだろう、このアルバムが必然的に二枚組にならざる得なかったと想像できる。そして、そのアイディアを実現するには多くのゲストが必要だったのであろう。このアルバムは「エクスペリアンス」名義ながら、いよいよジミが本格的にやりたいことをやり始めた最初のステップだったのだ。

ポップなハードロック「クロスタウン・トラフィック」唸るギターが堪能できる超ヘヴィーなブルースロック「ヴードゥー・チャイルド(Slight Return)」、黒人のくせにぜんぜん黒っぽくないブルース「ヴードゥー・チャイル」コーラスが印象的な「真夜中のランプ」ジミ・ヘン流プログレ(?)「1983」〜「月夜の潮路」など、聴き所満載である。間違いなく当時最もプログレッシヴだった黒人ロック・アーティストを代表するアルバムじゃないかな。

一方でこのアルバムからカットされたシングル盤は日本では実に4枚。シングルを乱発する初期ビートルズのような時代じゃなくなっていたにも関わらずである。しかし、それは作曲家・アレンジャーとしてのアイディアと才能も豊富だったということで、すなわち派手なギター・プレイヤーとしての側面もさることながら、時代と流行りに対して柔軟で敏感だったことの裏返しでもあろう。

僕がこのアルバムを聴いたのは発表後10年以上も後だったけれど、もしリアル・タイムでこの盤を聴けたら、きっとこの次のスタジオ盤を待ち焦がれたことだったと思う。

(22.Sep.2000)


No.2

名前

psr岩田

電子メール psr@netlaputa.ne.jp
URL http://www.ismusic.ne.jp/psr/
いつ聴いたか 80年代後半
その時の境遇 高校生。プリンスバカ(現在も変わらず)。
今でも聞きますか 年に数回。

レヴュー本文

二枚組作りたがる人はまあ例外なく多作ってことだと思いますが、ジミヘンの場合ジャム中毒だったみたいですね。一日平均16時間スタジオにいたなんて話もあるし、とにかくいろんな人をスタジオに引っ張り込んではジャムってたようです。もともとジミヘンの場合一人黙々と譜面に向かって作曲なんてタイプじゃないのはすぐわかりますが、特に様々な人間との垂れ流し即興ジャムセッションの中からインスピレイションを得ていたようです。
で、本作ではスティーブ・ウインウッドやらアル・クーパーやら豪華なゲストを迎えてジャム的なものを取り入れています。特に「レイニーデイ〜」ではホーンとオルガンとパーカッションを加えブルーズ・ファンク的な演奏が実にカッコ良く決まってます。しかし同時にホワイトアルバムのビートルズ同様、エクスペリエンスという3ピースバンドの存在意義がここでは怪しくなってしまっています。実際翌年ウッドストック・フェスの時には冒頭のMCで「エクスペリエンスにはもう飽きた、だから新しいバンドでやる」(ひでえ言いようだな:笑)と言い、5人編成のバンドで演奏します。
しかしその時の5人編成というのが非常に中途半端なもので、以降のライブでは結局3ピースに落ち着いています。で、その中途半端なものを僕はこの二枚組にも多少感じてしまうのです。3ピースにおける音っていうのは最初の2枚で完全にやり尽くした感があるから、やはり志半ばで倒れたってことなんでしょう。
蛇足ですが、ジミヘンが死んだ日ってのはスライとセッションの約束をしていた日ってことになっている。うーむ。


No.3

名前

電子メール

URL

いつ聴いたか

その時の境遇

今でも聞きますか

レヴュー本文


No.4

名前

電子メール

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いつ聴いたか

その時の境遇

今でも聞きますか

レヴュー本文


No.5

名前

電子メール

URL

いつ聴いたか

その時の境遇

今でも聞きますか

レヴュー本文


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