『ロマンティック』エア・プレイ
クロスレヴューvol.1
No.1 | |
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名前 | YUKIO |
電子メール | yukio@hello.email.ne.jp |
URL | http://www.ne.jp/asahi/yukio/hello/ |
いつ聴いたか | 1980年頃? |
その時の境遇 | 大学3年だったかな? |
今でも聞きますか | 最近ジェイ・グレイドンのコンピレーションを自分で作って楽しんでいます。 |
レヴュー本文 |
『デヴィッド・フォスターとジェイ・グレイドンというAOR界最強の二人のプロデューサー兼プレイヤーが結成したエアプレイの発表した唯一のアルバム。リラックスしたAORサウンドかと思いきや、以外とスピード感あふれる曲があったりして力がはいっています。もちろんバラードもはいっています。E,W&Fでヒットした「アフター・ザ・ラヴ・イズ・ゴーン」でしっかり締めくくっています。 』
私のHPでは、このアルバムを上記のように紹介していますが、ちょっと簡単すぎると思いますので、ここではもう少し掘り下げてみたいと思います。 多くの人がこのアルバムをAORの名盤として取り上げていますが、かといってこのアルバムが普遍性を持ったAORの最適解ではないと思います。どちらかというと、一般解というよりは特殊解に近いのではないかと思います。それまでは、裏方でやってきた二人の才能は、あくまでも主役を引き立てるという前提で、ある意味では、最適解を狙った方法を展開して来たわけです。しかし、このアルバムでは自分達が主役ということで、これまでもかというほどに二人のサウンドショーケースとあるいは、コンテンポラリー・ロック・アレンジの宝庫と言っても良いようなすさまじいフォスター=グレイドン・サウンドの総合カタログになっています。 というわけで、このアルバムにフォスター=グレイドンの一般解的な芳醇かつ Light Mellow な音を期待してしまった私は1曲目のハード・ドライビングな硬質なロック「Stranded」で、見事に粉砕されてしまいます。そっかぁ、あくまでも「ロック」だったんだなぁ、リーダーアルバムなんだなぁって。そのあたりに軽い違和感を感じつつも、長い歳月を経て上記のような考えを持つようになりました。 彼らのの本音としては、そろそろ裏方じゃなくてTOTOのように表舞台に出たかったのではないかと思いますが、意に反して、このフォスター=グレイドンの集大成にようなアルバムは、一般リスナーとうよりもマニアックなファンやミュージシャンの支持を集め、コンテンポラリー・アレンジのバイブルとなっていったのでした。特に日本の歌謡界やスタジオミュージシャンは多くの影響を受け、歌謡曲やニューミュージック(今でいうJ-ポップ)のアレンジは、TOTO-AIRPLAY色に染まってた時期がありましたよね。 アレンジの話ばかりになってしましってますが、各楽曲はどれもメロディアスな逸品であり、絶妙に楽曲とからむジェイ・グレイドンのワイヤ・クワイヤ(ギターオーケストレーション)やデヴィッド・フォスターのキーボード・ワークは、TOTOのリズム・セクションをバックに完璧な出来と言っても良いでしょう。惜しむらくは、その完成度の高いサウンドのわりには、オーディオ的にはちょっと今いちなところが気になります。ハイトーンを強調させるためか、どうも低域不足で薄っぺらい(これは、CDになっても改善されていなくて、95年にリマスターされたらしい?のですが、これは未聴)感じで、これでもう少し音が良ければ最高だったんですけどね。 P.S. ジャクソン・ブラウンのファーストアルバムのサブタイトルに Saturate Before Using (使用前に浸透している)とありますが、まさにこのAIRPLAYにもあてはまりますね。ワン&オンリーでしたけど。 これは金沢のパイドパイパーハウスで輸入盤を買ったのですが(ちなみにBOB & PAULINE WILSON/SOMEBODY LOVES YOU と同時に購入)あとで発売された国内盤の『ロマンティック』という邦題には、カクッとしてしましました...確かにそういう曲も入ってますけどね。 あと、ジャケはいいです。いかにも自信たっぷりの仕事人って雰囲気醸し出してますね。 (Oct.24,2002) |
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