British Rock

『(IV〜フォー・シンボルズ)』レッド・ツェッペリン

クロスレヴューvol.2


No.6

名前

シバタ

電子メール

lp0105@mail2.doshisha.ac.jp

URL

http://www3.justnet.ne.jp/~ysawa/

いつ聴いたか

1983年

その時の境遇

中学2年 たぶん2月か3月だと思う。

今でも聞きますか

持っていたCDを弟に貸して、それを又貸しされて以来まともに聞いてないはず。手元にあったら聞きなおしたい。

レヴュー本文

 なぜか同じ剣道部だった友達と部活の後寄ったそいつの友人の家に『フォー・シンボルズ』のテープがあった。レーベルには、「レッド・ツェッペリン』と記してあっただけだと思う。その頃ちょうどロックへの渇望のピーク時にあったものだからツェッペリンのテープといえば、涎もの。そいつはあまり聞いてないようだったので半ば譲ってもらうかたちでそれを借りていった。しかもその一ヶ月程前にシングル盤の「ブラック・ドッグ」を買って何故かB面の「ミスティ・マウンテン・ホップ」が異常に気に入ってポスター目当てでサード・アルバムを手に入れ、最初若干こけて、その後だんだんとその良さが分かりはじめたころであった。

 最初聴いた時の印象はよく覚えていない。すでに聞いていた「ブラッグ・ドッグ」と「ミスティ・マウンテン・ホップ」を手がかりに少しずつ他の曲にもなれていったという感じだったろうか?

 ところでなぜ「ミスティ・マウンテン・ホップ」が好きだったのか?この曲かつて『レコード・コレクターズ』で山岸伸一氏に「つまらない曲」みたいな言い方をされていて少々がっくりきた覚えがあるが、当時の僕には、ビートルズで垣間見たイギリス人特有の奇妙に捻じ曲がった変な音楽の一つという感じがしてそこが気にいったのだ。もう何年も聞いてないけれど今聞いても「ああ変な曲だな」と思って楽しめると思う。

 しかしこのアルバムについて語るときやはりどうしてもかの名曲「天国への階段」に触れねばならないだろう。僕が持っていた彼らのバイオグラフィによるとこの曲をわざとシングル・カットしないで、その結果聴衆はシングルを買う代わりにアルバムを買ったということだ。よほど当時の彼らには自分達のやる音楽とその聴衆へのアプローチの仕方に自信があったのだと思う。またビートルズが在り方を変えてしまったアルバムの意味性を更に発展させたとも言い換えることができるだろう。もうさんざん語れ尽くされた曲なので今更付け加えることはないが、やはり名曲だと思う。

 ただ惜しむべきは3曲めの「限りなき戦い」。冒頭で「ブラック・ドッグ」と「ロックン・ロール」というヘビー・ロックの名曲を連打され、次の曲はロック史に残る超有名曲。それらの曲に挟まれたこの曲は、どうも継子扱いというか印象が薄くなりがち。僕としては「天国への階段」への序奏でありなおかつ、それ自身も非常に味わいのある佳曲としてこの曲は位置づけたい。なによりも今は亡きサンディ・デニーの歌声が聞けるのが感動もの。この体験がなければあの名盤フェアポート・コンヴェンションの『リージ&リーフ』に触れるのも2、3年遅れていたかもしれない。実にありがたい曲である。A面ばかりに話が及んでしまったが、B面もやや地味ながらも佳曲揃いで楽しめると思う。僕はこのアルバムでイギリス人特有の暗さというものを少しずつ肌で感じとっていたのだ。

 冒頭に触れたように今手元に無いアルバムなのでなんとか必死に記憶の糸をたぐりよせながら書いてみました。少々記憶違いなどあるかもしれませんが、御了承のほどを。(nov.98)


No.7

名前

☆TAKE

電子メール

s-take90@pb3.so-net.ne.jp

URL

http://www.geocities.co.jp/Broadway/5266/

いつ聴いたか

1989年頃

その時の境遇

大学生、後追いで60,70年代のロックを聴きあさっていた

今でも聞きますか

年に1〜3回

レヴュー本文

 私は常々、ZEPというバンドは、単なるハード・ロック・バンドではないと思っている。 一般に「ハード・ロック」という言葉から連想されるドライブ感も、ライブ感 覚も、「様式美」も持ち合わせていないし、流暢なギター・ソロもない。そう いう意味では、70年代にライバル視されていたパープルの方がずっと「ハード・ ロック」のイメージにピッタリくる。だからかもしれないが、彼らは意外と 「ハード・ロック一筋」なファンの受けがあまりよくないように思われる。逆 に、特別「ハード・ロック」というジャンルに思い入れのない、普通のロック ファンの間での人気は絶大なものがある。

 まあ、当然であろう。私は、 ZEPは、「ハード・ロック」などという、狭い枠に収まりきれない、偉大なロッ ク・バンドだと思っている。デビュー・アルバムでクリームのサウンドをさら に発展させたような「へビー・ブルース」ともいえそうなサウンドを構築、続 くセカンドで「ハード・ロック」のイメージを確立させた。この時点で、一応 のZEPのサウンドを完成させてしまっている。ただ、ここまでで終わっていれ ば、彼らは単なる「ハード・ロック・バンド」で終わっていただろう。しかし、 それだけで終わらなかったところが彼らの凄さである。続くサードで、露骨な アコースティック、トラッド路線のサウンドに方向転換。世間では賛否両論巻 き起こった。この時点で、純粋なハード・ロック・ファンは、ZEPから離れて いったようだが、自分の作り上げたスタイルを、自ら壊していく、というのは、 偉大なロック・アーティストの証だといえる。

 で、そのサードに続いて発売されたのが、このアルバムである。内容的には、 セカンドまでのハード路線と、前作から登場したアコースティック路線のサウ ンドが同居。それも、無理なく両方のサウンドが並び立っているあたりが、こ のアルバムの凄さである。まあ、このアルバムといえば「天国への階段」とい うことになるのだろうか。確かに、アコースティックで、トラッドの香りも漂 う前半部から後半徐々にハードに・・・。という展開は素晴らしいし、一曲の 中に彼らの「二つの顔」が同居している、というあたりは注目に値する。だが、 このアルバムでもっと重要なのは1曲目の「ブラック・ドッグ」ではないかと 思う。一見、「王道」なハード・ロック・ナンバーのようにも思えるが、かな り露骨に変拍子が使用されている。よって、「ハード・ロック」特有のノリの よさは全く感じられない。また、2曲目の「ロックン・ロール」は一見、古典 的なロックン・ロール・ナンバーのようでいて、ペイジのギター・リフは何重 にもオーバー・ダビングが施されており、とても人工的でロックン・ロール特 有の「汗臭さ」は0に近い。「汗臭さがない」、「音の構築が人工的」! ! ! ! ! 、「計算高いスタジオ・ワーク」、「変拍子の多用」・・・。これ らは、本来の「ハード・ロック」とは全く無縁の世界である。では、これらの 言葉から連想されるジャンルとは・・・? そう、これらは「プログレシヴ・ ロック」の特徴である。

 だから、私は思うのである。ZEPはハード・ロッ ク・バンドではない。ハード・ロック・バンドの仮面を被ったプログレ・バン ドなのだ。もちろん、そんなバンドは他には見当たらない。そう、ZEPという バンドは、バンド、それ自体がジャンルなのではないか・・・。バンド、それ 自体がジャンルと化したケースは、他にはビートルズくらいしか見当たらない。 こんなところに、私はZEPの偉大さを感じるのである。このアルバムには、他 にも、サンディ・デニーが参加したトラッド風の「限りなき戦い」、アメリカ のフォークへの接近も感じられる「カリフォルニア」など、実に多彩である。 こんなところにも、ZEPの懐の深さ、このアルバムの凄さが感じられる。

 このアルバムの後、ZEPはレゲエ、ファンク、さらには露骨なプログレ風の 作品などを発表していくことになる。だけど、それらはあくまでも、このアル バムで構築した「ZEPサウンド」の焼き直し、及び発展形であったと私は思う。 つまり、実はZEPの進化は、事実上このアルバムで終わっていたような気がす るのである。そのことは逆に、このアルバムが彼らの頂点であり、紛れもない 最高傑作だと言えるわけである。ハード・ロック一筋のファンは、このアルバ ムより、セカンドを好むようだが、正直、セカンドで作り上げたヘビー路線一 直線なサウンドは、彼らの通過点に過ぎない。繰り返すようだが、ZEPの偉大 さは単なるハード・ロック・バンドではなかった点なのであり、そういう意味 では、「このアルバムが分からない人は、ZEPの本当の偉大さなど分かるまい」 と思ってしまうのである。(nov.98)

No.8

名前

Page好きです

電子メール

kkitano@ele.eng.osaka-u.ac.jp

URL

いつ聴いたか

1993 or 94

その時の境遇

高校生

今でも聞きますか

たまに聞く

レヴュー本文

 さて、どこから語ったらいいものやらこのアルバムを耳にする1年くらい前まで、自分は友人にハードロックを聴かせてもらって、はまってたりしました。

 ある時、レンタルCD店でパープルの「ライヴ・イン・ジャパン」を借りて、それをきっかけに70年代のロックがロックらしかった時代のロックを聞きまくるようになりました。 当然、どこからともなくZEPの名前はインプットされていました。 その頃、中古盤店でZEPの2枚目を見つけました。 この作品が、歴史的名作であることは知っていたので、すぐに買いました。 聴きました。がっくりしました。 今まで聴いてた、パープルやらレインボーやらみたいな、起承転結がはっきりした音楽ではなかったので、ガキにはすぐには、よさがわからなかったんです。 1週間後くらいにやっとわかってきました。Lemon Songがわからせてくれました。 楽曲の妙では味わえない(こともないけど・・)即興演奏の妙! それからはZEP無限地獄すべてのアルバムを揃え、よせばいいのにギターもペイジの物まね(おかげでテクニックはいまだに情けないレベルです)どのアルバムも、いやすべての曲が好きという、重症の患者になっちまいました。

 さてこのアルバム、実を言うとZEPの全作品の中で、一番僕にとっては、訴えかけるものが少ない。 Stairway To Heaven は素晴らしい名曲だし、その他の曲も、捨て曲なんぞ、間違っても存在しない。 しかし、である・・ 僕にとってはStaireay To Heaven よりも、次作のRain Song の方が、より完成されていて、感動的で、歌詞も素晴らしく思えるんです。 Black Dog よりも、The Ocean の方がスリリングに思えるんです。 Rock and Roll よりも The Song Remains the Same の方が、よりさわやかな疾走感を持っているように思えるんです。 この作品は、間違いなく傑作です。 すべてのロックファンにとって95点くらいの大傑作だと思います。 ただ、重症のZEP病患者にとっての100点アルバムは何枚か存在するので、ちょっとプライオリティが下がってしまう。

 わかっています。僕のいっていることは完全な暴論です。贅沢すぎます。 でも、僕が好きなZEPの曲ベスト3はTen Years Gone、Rain Song、Bring it on Homeなんです。 (nov.98)

No.9

名前

T.S

電子メール

URL

いつ聴いたか

1995

その時の境遇

青春の高校生

今でも聞きますか

2日に一回

レヴュー本文

僕がこのアルバムを知ったのは中学生の時だ。 当時つきあっていた女の子がロックおたくで、その子の影響で、僕もロックを聴くようになった。 初めて聴いたのは、BON JOVIの「Keep The Faith」だった。 その子とは3年近くつきあっていたのだが、急に別れの時がきてしまった。 阪神大震災によって、彼女が亡くなってしまったのである。 僕は震災直後、彼女を失った悲しみから立ち直れなかった。 何をすればいいのかわからない、何を信じればいいのかわからない、そんな中、何気なくCDショップで見つけたのがこのアルバムだった。 今から思うと、このアルバムに僕は引きつけられたのかもしれない。 ジャケットに何も書かれていない、ということに興味を持った僕は、アルバムを購入した。 家に帰り、そのアルバムを大音量で何度も聴いた。 アルバムを聴いているときだけ、悲しみから解放された。 本当に当時は、このアルバムを狂ったように聴いた。 とくに、2曲目の「Rock And Roll」は今までであった曲の中で、もっとも好きなものだ。 今は彼女を亡くした悲しみからもだいぶ立ち直った。 このアルバムに出会わなければ、悲しみから立ち直れなかっただろう。 いまでも、このアルバムを聴くたびに彼女と過ごした日々を思い出す。 (Mar.99)

No.10

名前

ごうき

電子メール

g1201@aol.com

URL

http://members.aol.com/g1201/

いつ聴いたか

1972〜3年

その時の境遇

中学生でした

今でも聞きますか

年に2〜3回は聴きます。

レヴュー本文

 ZEP初体験は『II』でした。1972〜3年頃はZEPやCSN&Yの人気が異常に高くて、まだ聴いたことのなかった私は、友人からレコードを借りてわくわくしながら家に帰ったことを覚えています。 が、聴いてみて大ショック!こんなはずじゃあなかった、と思いました。 まあ、考えてみれば当時の私は完全なポップス少年で、ビートルズの『HELP』のLPでも、最後の「Dizzy Miss Lizzy」はうるさいな、と思っていたくらいですから、ZEPが、ましてや『II』が気に入るわけはなかったですね。

 それでも徐々に聴くジャンルを広げてゆき、ハードなものにも魅力を感じるようになった頃に聴いたのが『IV』でした。 今度は完全にまいりました。 言うまでもない「天国への階段」です。 変な表現ですが、それまでに聴いてきたビートルズをはじめとする名曲の数々が「ポップスの名曲」で、この「天国への階段」は、まぎれもない「ロックの名曲」だと思いました。

 それからは過去のアルバムも聴き、『聖なる館』からはリアルタイムでZEPを経験していきます。 いつでもZEPは頭ひとつ抜き出た存在でしたね。 新譜が出るというニュースには心が躍り、大きな期待を寄せ、その期待以上のものを私たちに与えてくれたバンドだったと思います。

 ほめられることではないにせよ、オフステージの乱行も「ロック・バンド・ZEP」にハクをつけていたような気もします。

  さて、『IV』ですが、アナログでいうところのA面とB面が、鏡のような構成だと思うのです。 独特の変拍子の曲〜ボンゾのドラムを堪能できる曲〜ブレイクとも言える安らぎの曲〜クライマックスと。 だからといって片面だけではすまされない見事な構成になっているアルバムだと思います。 まさにアナログならではの素晴らしさだ、と書こうと思ったら(書いたけど)、尊敬すべきぶりぱぱ氏もレコードをひっくり返す「ま」のことを書かれていて、ニヤリの私です。 私はZEPのアルバムでは『聖なる館』やファーストが好きなんですが、アルバムの構成としては、ZEPのベストだと思います。 意地悪く言うと、完成しすぎて粗がない分、聴くときにさめてる自分を感じたりもしますけど。

 収録曲では、「天国への階段」を除くと、「レヴィー・ブレイク」やサンディ・デニーのヴォーカルが切ない「限りなき戦い」が特に好きですね。 初めは「ロックン・ロール」も好きでしたが、あの『永遠の詩』のライヴ・ヴァージョンを聴いたら、こっちは色あせました。  脱線しますが、ロバート・プラントの大ファンだというハートのアン・ウィルソン。 彼女の「ロックン・ロール」(ハート)や「限りなき戦い」(ラヴモンガーズ)も素晴らしいカバーですね。  とにかく駄作のないバンドですから、アルバムの好みもばらばらになるでしょうが、万人向けのアルバム、ZEP入門編に最適なアルバムであることは言えると思います。 何と言っても「天国への階段」が入っているアルバムですしね。

  脱線ついでに『III』の話。  ところで、『IV』を語る時には必ず『III』のことも語られますね。 『III』で大幅にアコースティック路線に走ったのは、この『IV』をみすえていたであろうという話です。 それはそれでいいのですが、「最初『III』にはとまどったけど、『IV』を聴いたら納得」とか聞いたり目にしたしますが、わたしはこれがわからない。 リアルタイムで経験していないのですが、『III』を「つまらない」と言った人が、次のアルバムを聴いて評価が変わる、なんてことがあるのでしょうか?  たしかに後になって振り返ってみれば、音楽性の変化とか、流れとかはつかめるでしょう。 でもミュージシャンが「次はこうしたいから、今度のアルバムはこうしよう」とか思ったにしても、ミュージシャンはその時、その時、その一瞬に、今の全て・今のベストなアルバムを私たちにプレゼントしてくれると思うのです。 それなのに純粋に『III』だけを見つめず、わかったようなわからないような評論家さんたちの『III』に対する記述・評価にはいきどおりを感じています。 (Apr.99)


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