British Rock

『夢見る人』ニッキー・ホプキンス

クロスレヴューvol.1


No.1

名前

エーハブ船長

電子メール

yutayuta@iris.dti.ne.jp

URL

http://www.iris.dti.ne.jp/~yutayuta/index.htm

いつ聴いたか

1990年

その時の境遇

大学生

今でも聞きますか

聴きます

レヴュー本文

僕が本格的にロックに狂い出しはじめたのは16歳の頃だった。恐らく多くの人と同じようにきっかけはストーンズやビートルズに入れ込んだことだったが、本アルバムの主人公であるニッキー・ホプキンスの演奏には既にその頃から強く魅きつけられていた。何と言っても印象的だったのストーンズの名曲「シーズ・ア・レインボウ」で、初めてあのイントロを聴いた瞬間は思わずため息が出たのを良く憶えている。他にもフーの「ソング・イズ・オーヴァー」とかキンクスの「トゥ・マッチ・オン・マイ・マインド」など、ニッキー・ホプキンスと聞くだけですぐ思い浮かぶ曲は沢山ある。

しかし彼の参加作で一番好きな作品はと言われたら、僕は迷わず本作を挙げることにしている。理由は簡単で、自信をもって人に薦められる名作だと思うからだ。一聴しただけではちょっと地味な印象もあるが、永く聴きこんでも全く飽きないのである。ジャケットから受けるイメージ通りの美しいメロディや、下手だけど味のある歌声は本当にいつ聴いてもいい。

特に好きなのはやはり「夢見る人」「ドリー」「弁護士の嘆き」といったバラード・ナンバーだ。中でも祈るように唄われるタイトル曲の美しさは神々しいほどだと思う。また「ジョージ・オ・ハラ」という変名で参加したジョージ・ハリソンのスライド・ギターを大きくフューチュアした「エドワード」や、共演シンガーのジェリー・ウィリアムスが唄う「スピード・オン」「シュウト・イット・アウト」といった泥臭いナンバーも好きだ。やはり変名で参加したリンゴ・スターとクラウス・ブーアマンのリズム隊も全曲で気持ち良いリズムを聴かせているし、ラストはクリス・スペディングも参加した小インスト曲「ピッグス・ブギ」で閉めてくれる。

曖昧な記憶なのだが、たしか本作を初めてCD化した国は日本だったと思う。今では海外でもCDが出ているし、勢いなのかアナログ盤でも再発されたりと世界的な評価を得ているようだ。そう思うと当の主人公であるニッキー・ホプキンスが94年にひっそりと他界したのは本当に惜しかった。復活作を待ち望んでいたのも僕だけではないだろう。それだけにより一層ここで聴ける音楽の美しさは貴重だし、聴くほどに愛着も湧いてくるのである。本当にいつまでも聴きつづけたい一枚だ。(June 99)


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