British Rock

『THE KICK INSIDE』ケイト・ブッシュ

クロスレヴューvol.1



No.1
名前 千冬
電子メール chifuyu@ps.ksky.ne.jp
URL http://www.ksky.ne.jp/~chifuyu
いつ聴いたか 1980年あたりか???
その時の境遇 高校の頃か???
今でも聞きますか 滅多に聞かない
レヴュー本文

 多分、ビデオで「嵐が丘」を見たのが最初の出会いであろう。 その時の印象はほとんど残っていない。 実際、ケイトの音に興味を示しアルバムを購入しようと考えたのはかなり後の事である。 このアルバム自体をフルで聞いたのもかなり後になる。

 このアルバムを久々に聞いているが、シンプルな事この上ない。 ほぼピアノの弾き語りと言う次元である。 のちのアルバム「ドリーミング」あたりから思うと不思議な位である。 やはりこの時期のケイトの魅力と言えばやはりあの声であろう。 もう「天使と小悪魔(Moving)」などは絶品である。 「You Cruch The Lilly In My Soul」の処なんて・・・ これだけ十分なアルバムである。

 この後のケイトは、自己表現(作品の表現)の極限を求めて行くようになったと思う。 その一種の頂点が「ドリーミング」ではないかと思う。 この「ドリーミング」までの表現が出来るケイトはプログレッシブで素晴らしいと思う。 しかしながら、そこで創り上げられた自己表現の音(歌)が、私には辛かったのも事実である。 このアルバム「THE KICK INSIDE」でも、十分ケイトの世界を表現している音(歌)だと思う。 私には十分な音の世界である。 そしてケイトという女性アーティストにふれるには最高のアルバムではないかと思う。



No.2
名前 エーハブ船長
電子メール yutayuta@iris.dti.ne.jp
URL http://www.iris.dti.ne.jp/~yutayuta/index.htm
いつ聴いたか 1986
その時の境遇 高校一年生
今でも聞きますか たまに聴きます
レヴュー本文

僕が初めてこのアルバムを聴いた1986年のことは、今でもよく憶え ています。当時僕は千葉県野田市に住んでおり、比較的近かった 柏のディスクユニオンで帯なし国内盤LPを1200円程度で購入した のです。買った理由はまず彼女の宣伝文句に使われていたデイヴ ・ギルモアが好きだったことと、もう一つはジャケットの良さで ございました。だって本当に可愛いじゃないですか、この頃のケ イトは。かくして当時高校一年生だった僕は、どんな音が出てく るのだろうとワクワクしながら家へ帰りました。

正直に言いますが、出てきた音は全然自分の考えていなかった音で した。何も掴めないままA面5曲目に来て、『The Man With The Child In His Eyes』が始まったときになってようやく自分にもわ かる音が出てきたと安心したのを憶えています。そして次の『嵐 が丘』、これはもの凄い衝撃でした。はっきり言って参りました 。イントロのピアノの美しさ、どこから出しているのか解らない ような不思議な声、そして胸をかきむしるような素晴らしいメロ ディ!!オーケストラの導入も完璧だし、エンディングで響く泣き のギターがまた良くてもうどうしようもない、本当にノックアウ トの一言でした。それからおよそ7年間、ケイト・ブッシュと言え ばこの『嵐ヶ丘』だけを貪るように聴いてました。その間にベス ト盤や「ライオンハート」といった他の作品も聴きましたが、や っぱり『嵐ヶ丘』を越える感動を与えてはくれなかったのです( ただし何故か「愛のかたち」収録の『Cloudbusting』だけは例外 的に大好きだった)。

しかし時が経つと何にでも変化が訪れるもので、大学3年になって 英ロック系の廃盤コレクターをやっていた時、何とは無しに本作 を頭から聴き直してみました。するとこれが驚いた事に何の違和 感もなくアルバムを聴きとおせました。全曲クオリティが高く名 盤と言われるのはよくわかる、これは実に凄い作品だ!! 現金なも ので、すぐそんな気になりました。そしてその時になって初めて 、彼女のバックバンドは元パイロットとコックニー・レベル、さ らにアンドリュー・パウエルなんていう自分の好きな音を出して くれる人たちが勤めていることに気づきました。あの『嵐ヶ丘』 の素晴らしいギターを弾いていたのは元パイロットのイアン・ベ アンスン、APPにおいても数々の名演を聴かせた名手だったと知っ たときは嬉しくて仕方が無かったです。

かくして自分にとって本作は名盤となりました。今でもケイトと言 えばこれを聴きます。無論彼女の他のアルバムも好きですが、秘 密の宝箱を開けたその一瞬のような輝きはこのデビュー作にしか ないように思えるのです。(00,09,25)



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