『南十字星』ザ・バンド
クロスレヴューvol.1
No.1 | |
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名前 | テリー横田 |
電子メール | terry@futaba.ne.jp |
URL | http://www.futaba.ne.jp/~terry/ |
いつ聴いたか | 1999年 |
その時の境遇 | 通して聴いたのはつい去年 |
今でも聞きますか | もちろん。 |
レヴュー本文 |
思い切り私ごとから始めちゃいますが、20代の私はコンピュータ業界という、かなり変則的に忙しい職場におりました。 そこに育った者にとって、田園の風景は全然美しくなんかありません。野粗な、抗しがたい山や川が、ただ歴然とそこにある。自分はここから逃れられない。山や田んぼはまるで刑務所の濫のようにも見えました。 今、つらつらと考えてみると、都会での挫折体験と帰省直後の葛藤のようなものを経て、それにある程度見切りをつけられるような、気持ちに余裕が出てきたせいで、こういったダウナーでルーズな音楽が、本当の意味で心に入りこむ余裕ができたのかな、と、そう思います。20代の頃は、このザ・バンドの音楽を、「好みだよ」と言ってはいましたが、どこかなじめない部分があった。うなるギター、切れるリズム、カタルシスをぶっ飛ばすシャウトなど、上っ面のカッコ良さのほうに、やはり耳が反応していました。 そんなわけでこのアルバム「南十字星」も、しっかり全曲を通して聴いたのはつい去年のことです。クセは強いしロック的なかっこよさは微塵もないけれど、まろやかでノスタルジックで、アメリカの大地の匂いがむんむんする、心からの歌と演奏が並びます。 現実を、現状を、肯定することなしには、人間は前には進めない。一歩引いて田舎の山々を見たおかげで、あやうく取り逃がしそうになった彼らの音楽を、少しは捕まえることができたかもしれないな、と思っていました。その矢先のリンク・ダンコの急逝の知らせは、ほんとうにほんとうに残念でなりません。(2000.2.10) |
No.2 | |
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名前 | ろびー |
電子メール | isg0@peach.ocn.ne.jp |
URL | |
いつ聴いたか | 1995年 |
その時の境遇 | 今までの人生で一番楽しかった高校1年生 |
今でも聞きますか | もちのろんで |
レヴュー本文 |
ザ・バンドは僕がこの世の中で一番好きなバンドである。音楽はもちろん、その凛とした佇まいに抗いがたい魔力があるのだ。 「七人の侍」を楽団という形で表現するならば、彼ら以外にその存在が見当たらないのである。しかし、この「南十字星」は、「七人の侍」たり得た彼らの関係性が崩れるきっかけとなったアルバムでもある。つまり、ロビー・ロバートソンがついにそして具体的に、「演者」から「監督」へと、その役どころを変えていく様を収めた作品だといえる。それは、ソングライティングの全権を、半ば強引に手中にしたということなのである。 この作品は、ザ・バンド史上もっとも音質のよい作品であろう。一つ一つの楽器の音がヴィヴィッドに聴き取れ、よりタイトかつファンキーな演奏は、「田舎音楽」とは程遠い響きを奏でていた。しかし、それは僕を何故か不安にさせた。いや、僕はすでにザ・バンドが解散していたことは知っていたし、「不安」という言葉は適当ではないかもしれない。完璧すぎて怖かったのだ。 つまり僕は「南十字星」が大好きである。 (2000.2.14) |
No.3 | |
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名前 | 黒鯛はチヌ? |
電子メール | EZV00243@nifty.ne.jp |
URL | http://homepage1.nifty.com/kurodaihachinu/ |
いつ聴いたか | 1984年 |
その時の境遇 | 大学受験に失敗して、駿台予備校に行ってました。(ディスク・ユニオンの近所の) |
今でも聞きますか | たま〜に聴きます。 |
レヴュー本文 |
私が大学受験で浪人している頃というと、それまで思いっきりはまっていたニュー・ウェイブ系にも飽きてきて、今までほとんど手付かずだった THE EAGLES だとか THE DOOBIE BROTHERS などの1970年代のアメリカン・ロックを少しづつ聴くようになってきた頃だったと思います。同時にモダン・ジャズなんかも聴くようになっていたのですが、そんな頃に私は T という男に出会いました。 T という男は結構アブナイ奴でした。実家が近所にあるというのに高校生の頃から一人暮らしをしていて、その部屋には毎晩いろいろな人間がタマッて酒盛りをしていました。その部屋には親戚の兄ちゃんと称する、SCORPIONS の ULRICH ROTH みたいな顔と髪形をした奴が一緒に住んでいて、そいつは顔も似ているのだけど、ギターもうまくて私もしょっちゅうギターを教えてもらったりしました。 T の部屋では私もいろいろなレコードを聴きながら、歌ったり、ギターを弾いたりしてたむろっていたのですが、その部屋でいつものように酔っぱらいながら聴かせてもらったのがこのアルバムです。 初めて聴いた時はとにかく酔っぱらっていて、「なんか男くさいボーカルでカッコイイなぁ」くらいに思って聴いていたのですが、しばらくして知っている曲が流れてきました。「IT MAKES NO DIFFERENCE」でした。『THE LAST WALTZ』は映画を見ていたので、私は知ったかぶりをして「なんだ、 THE BAND かよ!」みたいにいって馬鹿にした記憶があります。 T は別に何にも言わなかったと思います。 それからしばらくして、私は JOHN COLTRANE の『LIVE AT THE VILLEGE VANGUARD』というレコードを持って T の部屋に遊びに行きました。 T はこのアルバムを聴いて非常に気に入ったらしく、私に「このアルバムをくれ!」と言ってきました。私は「じゃぁ、お前の持っているレコード1枚持っていってもいいか?」と言って、持って来たのがこのアルバムです。実は、あの夜から気になっていたわけです。 それからというもの、このアルバムの「男くさいボーカル」が気に入って、よく聴きました。それがきっかけで THE BAND が好きになり、他のアルバムを聴くにつれ、 ROBBIE ROBERTSON のギターに影響され出し、このアルバムはあまり聴かなくなってしまいましたが、今回改めて聴いてみると THE BAND のアルバムの中でも一番余裕があるというか、円熟味の極地というか、とにかく優しさと強さを一番強烈に感じます。派手な曲が少ない分、じっくり聴けるところが魅力的です。10代の頃聴いた印象と、30代も半ばに来てからの印象は大きく違うのかもしれません。 今でも、 JOHN COLTRANE のアルバムは T の部屋にあるのだと思います。 |
No.4 | |
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名前 | MATT |
電子メール | mojim@plum.ocn.ne.jp |
URL | |
いつ聴いたか | 1994年 |
その時の境遇 | 大学一年生 |
今でも聞きますか | 最近またきいた |
レヴュー本文 |
大学に入ったか入らなかったころ、某音楽雑誌でウッドストック近辺の特集(確か)をしていた。そこにはマリア・マルダーやエリック・カズ(大好きさ!)とともに……というかその中心的存在としてザ・バンドがいた。 そんなおり、やはり同じ特集を見たであろう友達がザ・バンドを聴けとテープをくれた。 古きよきアメリカン・ミュージックに目を向けさせてくれたザ・バンドに感謝したい。 おかげで僕はそのぬかるみの中にいる。(2000.3.10) |