American Rock

『エイジャ』スティーリー・ダン

クロスレヴューvol.1



No.1
名前 YUKIO
電子メール yukiosaito@virgo.bekkoame.ne.jp
URL http://www.bekkoame.ne.jp/~yukiosaito/
いつ聴いたか 1977年
その時の境遇 高校3年かな?
今でも聞きますか 結構聞きます。
レヴュー本文 スティーリー・ダンのレコードは、実は当時はほとんど揃えていなかったのです。友人にフリークがいて、そいつにレコード借りてテープに落していたから...。それでも気にいったのをポツポツと買い揃えて、現在は2ndの『エクスタシー』と『ガウチョ』以外は、所有しております。今度久々のスタジオ録音盤が出るっていう噂もあり、出たらやっぱ買うだろうね。

3rdアルバム『プリッツェル・ロジック』に収録の「リキの電話番号」が最初のスティーリー・ダン体験だったと思います。そのアルバムに漂うジャジーな独特のムードは、今までに全く聞いたことがない音として、しっかりと脳裏に刻み込まれたのでした。(陳腐な表現だな〜)

『彩(エイジャ)』。Ajaとはもともと日本語の彩(aya→aja)からとったのでしょう。西洋的なカラフルなサウンドではなく、東洋的な侘び寂びの世界を表現したかったのでしょうかね?余談ではありますが、昔、東京のとある花柳界にクラヴを設計したときに、ママがどうしても漢字1文字の名前にしたいと言うので、私は迷うことなく『彩(あや)』を提案し、採用されたのでありました...とさ。

まぁ、前置きはこのくらいにして本題に入りましょうか。スティーリー・ダンは、もはやバンドではなくドナルド・フェイゲンとウォルター・ベッカーとするソングライター・ユニットだったのは、周知の事実ではありますが、今あらためて曲毎のクレジットを見てると気の遠くなりそうなくらいの素晴らしいミュージシャンが参加してます(INDEXページ参照)。全7曲に対して、ドラマーが6人、ギターも7人という贅沢な起用なのですが、ベースだけは6曲をChuck Rainy 一人でまかなっているあたりにこのアルバムの秘密がかくされているのかも...。Chuck Rainyと様々なドラマーとの組合わせが楽しめる1枚でもありますが、ベイシックなアレンジは、フェイゲン&ベッカーとラリー・カールトン、ディーン・パークス、マイケル・オマーシャンによって錬られたらしいので、アルバムとしての統一感は堅固に保たれています。

「Peg」でのギター・ソロは、並みいる一流ミュージシャンを押さえてジャイ・グレイドンが勝ち取ったという逸話、またタイトル曲でのスティーヴ・ガット、ウェイン・ショータ−の名演、全編にさりげないアーバン感覚をもたらすラリー・カールトンのギター・オブリガードなどなど聞き所満載というこのアルバムやはりドナルド・フェイゲンの『ナイトフライ』(CDが出た当時最もCDで買い直したいアルバムで一番人気だった〜私はいまだにLPしか持ってませんが...)と共に手許に置いておきたいアルバムですね。

完璧とはこのようなアルバムのことを言うのでしょうね。あまり完璧に研ぎすまされたアルバムというのは、頻繁にターンテーブルにのっけるのが辛かったりもするのですが、一時期このアルバム聞くのが辛い時期もありましたね。ピンク・フロイドの『狂気』もそんな感じがありましたけど...。今聞き返してみても、そのクオリティの高さは衰えることはなく、まさに名盤としての価値を再確認するばかりです。ロック・ミュージックにおける洗練の極みとはこんな音なのでしょう。彼らはとうの昔にロックというジャンルなどから超越していたともいえますが...。

(Feb.28,1999)



No.2
名前 Kensaku
電子メール s-khg@pop06.odn.ne.jp
URL  
いつ聴いたか 1978年ごろ
その時の境遇 大学生
今でも聞きますか 聴きます。
レヴュー本文 この人たちって、結成時には6人いたのに、このときには2人になってたというメンバー脱退の激しいバンド。しかし、メンバーが抜けてアルバムを出すたびに洗練されてたんですね、音のほうは。この『エイジャ』もすごいが、2枚まえの『ケイティ・ライド』からすごくなってきてた。これを、ロック・バンドと呼んでもいいのかどうか。少なくとも、自分のバンドでやろうとは思いもしなかった。できるはずも無かったけれど。

世間一般的にはヒットが有るわけでもなく知名度もあまりなかったし、ライブをやっていたわけでもなくとっつきにくい人たちって感じは否定できないが、一度聴くとなんか、病みつきになりそうなアルバムだったことは確かです。ヒットとしてはデビュー・アルバムの「ドゥ・イット・アゲイン」があったけれど、それとこのアルバムでの彼らが同じ人たちとはなかなか信じがたいし。そうそうたる、スタジオ・ミュージシャンを集めて完成度という点では、当時ほかにはないというぐらいのアルバムだったが、露出も少なかったのになぜ、彼らを聴くようになったのかは思い出せないけど。

ジャケットも印象的で、メンバーの写真じゃなくて日本人モデルを使っていたというのも変わっていた。手にとって何も知識がなかったら買わないと思う。でも、発売以来、20年以上聴きつづけてるのは、やはり、魅力があるのだなぁと、思う。おかげで、彼らのアルバムに参加しているミュージシャンの参加しているレコードは結構買いました。そう言う意味では、僕の音楽趣味の道しるべのひとつとしても、とても助けてもらったのは今思うと良かった。なにしろ、彼らを聴いてると、ドゥービーズからポコ、スタッフ、クルセイダーズ、TOTO、トム・スコット、ライ・クーダーなんかも聴くようになるんだから。

ただ、びっくりしたのは再結成して来日までしてしまった1994年。もちろん見に行きました、見られるなんて思ってなかった人たちだったし。ちょっと、親しみが湧いたのは意外でしたが。新アルバムを作ってるという昨今です、また彼らに脱帽させられるとは、楽しみなこのごろです。

(Mar.24,1999)



No.3
名前 KABIGON
電子メール HQQ01725@nifty.ne.jp
URL  
いつ聴いたか 1978年頃
その時の境遇 大学生の頃
今でも聞きますか 聴けません(^^ゞ
レヴュー本文 彼らのアルバムで初めて聴いたのは、ヤキイモ屋のおじさんがジャケットの「プリッツェル・ロジック」これって邦題は「さわやか革命」とか言ったような記憶があります。確か「ロック名盤シリーズ」のような廉価版で購入しました(^^ゞ

それまでブリティッシュ系中心に聴いてた私にとっては、「ほうアメリカにもこんなスマートで粋なロックグループがあるんだ」と目からウロコでした。他に「ガウチョ」と「幻の摩天楼?」もよく聴きましたね。でもなんと言ってもこの「エイジャ」が最高傑作。ドナルドフェイゲンとウォルターベッカーが名うてのスタジオミュージシャンと作り出すこの「音の芸術」とも呼べる心地よいサウンドは、唯一無二のものでしょう。また当時の日本人トップモデル山口小夜子を起用したジャケットは彼らのセンスのよさが際立ってますよね。

私は、この後ロックから遠ざかり、フュージョン〜ジャズばっかり聴くようになるのですが、ベックの「ブロウバイブロウ」(←これも「ギター殺人者」の凱旋なんて凄い邦題でした)と並び、ジャズへの傾倒を促したアルバムと言えるでしょう。今ではレコードもプレイヤーもないので、聴く事は出来ないですが、ギターのフレーズに至るまで耳に残ってます。とにかく聴きまくりましたから(^^ゞ

最近、またロックやソウルが聴きたくなって、CDショップであれこれ物色して買って来たのは「ナイトフライ」以来15年ぶりとかいう「カマリキャド」。
やっぱりドナルドフェイゲンは最高っすね〜

(Apr.24,1999)



No.4
名前 やすお
電子メール kawaccho@ucatv.ne.jp
URL  
いつ聴いたか 1979年頃
その時の境遇 高校2年生の時かな?
今でも聞きますか 年に2回は聴きます。
レヴュー本文 その頃は、折からのフュージョン・ブーム。当時の音楽雑誌「ヤング・ギター」は、ラリー・カールトンを始めとするスタジオ・ミュージシャンにスポットを当てるような誌面構成だったように記憶しています。友人がアルバムを持っていて、カセットに落としてもらったのですが、ハッキリ言って、最初は全然面白くなかったです。チャート・マニアの高校生にとってはレベルが高すぎたのかもしれません。完全にハマったのは、大学入学後からです。それ以来、フェイバリット・アーティストはスティーリー・ダン、ベスト・アルバムは「彩」と答えていました。

今年、めったにセル・ヴィデオは買わないのですが、「クラシック・アルバムズ〜スティーリー・ダン」という「彩」のメイキング・オブ・ヴィデオを衝動的に買ってしまいました。フェイゲン&ベッカーがマルチ・テープを基に制作工程を解説しているのですが、これが凄い。特に「ペグ」については、J・グレイドンが起用される直前のソロは誰が弾いていたのか知らないけれど、恐ろしくつまらないフレーズだったことに驚きを隠せませんでした。20年ぶりに発表された最新作がピンとこなかっただけに「彩」の奥の深さに改めて感動した次第です。 



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